
(24時間テレビで85kmマラソン完走経験のある、はるな愛が応援に)
大会当日の朝は5時半に起床し、シャワーを浴びて身支度を済ませる。気になるのは天気なのだが、窓を開けるとどんより曇り空、もちろん富士山は見えていない。ちょっと肌寒いけど、雨が降っていない分だけまだましか。天気予報によると正午過ぎには雨が降るらしい。着替え等の荷物を23.9km地点と42.1km地点のエイドに預けることができるのだが、逆算すると42.1km地点のエイドに雨具を預けておいて、もし雨が降ったら着替えよう。これで天気予報が外れて、早い段階で雨が降ったら終わりだけどね。
7時にタクシーの迎えに来てもらうことになっているのでホテルの入り口に向かうと、女性ランナーが1人ぽつんとタクシーを待っている。どうやら予約したのにタクシーが来る気配がないということで、私が呼んだタクシーに同乗することになった。タクシー料金が割り勘にできて願ったりかなったりである。この方も今回初めてウルトラマラソンに挑戦するそうだ。格好からして何だか速そう(←というか、自分以外の人はとにかく速そうにみえるのだ。)
会場に着き、荷物を預けたり手早く準備を済ませる。体育館が開放されて受付兼控え室のようになっているのだが、周りの人達の話しているのを聞いていると、初めての人が結構多く、ちょっとホッとした。というか、この72kmっていう距離がウルトラマラソンのビギナー向けですもんね。とにかく、外は寒いので、時間ギリギリまでみんながいる体育館の中で暖をとる。
スタート15分前に開会式が始まるというので、競技場トラックに移動。大会実行委員からの挨拶の後に、はるな愛がゲストでスピーチ。彼女(?)もウルトラを経験しているのでその言葉には重みがあるなー。もちろん、エリック・ワイナイナ選手も登場。つか、みんなを見送った後、彼も72kmを走るんだってさ。
8時にスタートの号砲が響き渡る。
いよいよ11時間に及ぶレースが始まるのか。とにかく走るのみだ。先週のかすみがうらフルマラソンでの筋肉痛もすっかり回復して、順調な滑り出し。毎度のことながら最初の5km〜10kmは体が重い。今回は先が長いので全てのエイドで飲めるもの、食べれる物は少しでも口にしてスタミナをためて行くぞ。予想通り12km地点のチップ計測マットを踏んだ辺りからだんだん調子に乗ってきた。歩行者用の道路を走っているというのもあるけど、街中を走っているので楽しいし、ペースもだんだん掴めてきた。
ハーフ(21km辺り)までは楽しくてあっという間に時が過ぎるんだよね。で、第2関門の23.9kmのエイド手前が上り坂。見た瞬間に「ゲッ!」と言ったランナーがいたので、思わず「心折れますよねー」と同調し、励まし合う。ゆっくり走りながら登っていると「ここは無理せずに歩いていいですよー。この後、もっと急な坂道がありますからー!」という沿道からのアドバイス。どゆこと?と思っているうちにエイドに到着。ここで水分と食料補給し、いざ出発と前を見たらその意味が分かった。山道のZのような急な坂ではないか、これはさすがに走れない…。まだ30kmにも到達していないが、後のことを考えてここは無理して走って上るより、早歩きで上ろう。急ではあるものの、思ったよりも上りの距離が短かったので良かった。
で、31か32km過ぎた辺りだっただろうか、急にパーッと解放感あふれる雄大な景色と大きな道路、ちょっと急な下り坂が目の前に開けてきた。これは素直に嬉しい、下りの勢いで走ってここで挽回しようと、足に負担がかからない程度に一気に下る。と、ここを上ってくる人たちが続々とやってきているではないか、折り返してきた人たちですな。こ、これは裏を返せば、ここに戻ってくるってこと!?しかも、ここ結構急でっせ!?ちょっと、戻りのことを考えると涙がちょちょギレそうになった。
35km過ぎた辺りから足が重くなり、走るのが辛くなって早歩きになってしまった。せめてフル(42.195km)の距離までは走りきろうと思っていたのに!そして、雨がだんだんぱらつき始めた。天気予報むちゃくちゃ当たってるじゃないですかい!早く、42km地点のエイドに行って雨具を着用しないと!と思うものの、いかんせん体が思う通りに動かんのですよ。とにかく、歩くなら早歩き!と決めていたので、ひたすら早歩きで前へ前へと進む。5時間半程で42km地点に到着(時間制限1時間前)。予定よりちょっと遅くなったけれども、ここでしっかり着替えて、水分と食料を取っておこう。
まだ行ける。
とりあえず50km地点のエイドを目指して行こう!が、やはりまだ足が思うように動かないので早歩きで。今思うと、この42km〜50km間が一番辛かった。まず、あの行きで喜んでいたちょっと急な下り坂が、今度は上り坂として襲ってきた。そして、42kmのエイドでお手洗いに行くべきだったのに、47.5km地点のエイドでいいかと思ったのが甘かった。ここのエイドは歩道脇にできているのでお手洗いがなかった。更に、雨が降っていて、腕や靴が濡れ始めて気持ちが滅入ってきた…というのもあって、50kmのエイドでリタイヤを申告しようと本気で思った。しかし、50kmのエイドでお手洗いに行ったら、気分が少し晴れてきて、60km地点まではいけるかも?という気分になってきた。
50km〜60kmも決して楽ではない。足の状況は変わらないので早歩きするしか方法がない。ただ、下り坂だとちょっとは走れるので、下り坂になるとちょっと走って、後は早歩きの状態でとにかく行けるところまで行こうと決意する。とはいうものの、雨が少しずつ強くなってくるし、シューズが濡れているととにかく気分が滅入る。やっぱり60kmのエイドでリタイヤしよ。風邪引いたら元も子もないと思い始める。
が、やっぱりエイドで水分や食料補給すると、もうちょっと行けるかな?という気になってくるんだよね。そうこうしているうちに、62kmのチップ計測マットを踏んだ時はさすがにテンションが上がった。あと10km! 皇居ランに換算すると2周分、1時間とちょっとの距離だよ!(←なぜか、ランニングの単位は「皇居」になってしまうんだよな。)この時点で時計は17時ちょい過ぎを指していた。皇居ランのペースだと18時過ぎにはゴールできるという計算だが、ここまでの状況から5kmを45〜60分かけているので、ゴールは制限時間の19時に間に合うか否かのところか。
ここはもう最後の気力と体力で走れるところは走ろう。
最後の関門、67.5kmの地点に18時頃に到着。制限時間20分前だった。残り5km、ここでしっかり水分と食料を補給して、いざ出発!と思ったら、最後の最後で出鼻をくじかれた。上り坂なんですよ。そうだった、前日にバスで大会会場に向かっている際に危惧していたことだった。もはや周りで走っているランナーなんていない。できるだけ早歩きで、ずらり1、2列で暗闇の中を黙々と上っている異様な光景。どうみても登山グループ。皆、この上り坂を走るだけの体力がもう残っていないのだ。ところどころから、これはヤバイという声が上がる。このままだと、制限時間内のゴールは厳しいかもしれないという諦めに近い気持ちがよぎった。とにかく、歩くペースを上げるしかない。
が、
残り2kmってところで上り道が終わり、下り&平坦な道になったのだ。ここは意地でも最後の気力、体力を振り絞って走るしかない。とにかく、走った。あんなに足が重い、痛いとかずっと道中思っていたのに、本気というか、必死の状態になるとそのこと忘れるんだね。運動場内トラックに入った時にはラストスパートのダッシュをかける体力が残っていた自分にも驚いた。
制限時間11時間の10分前に何とか滑り込むことができた。
ゴール直前には嗚咽に近い、自分の中からこみ上げてくる物があったのだけれども、 ゴールしたとたん引いちゃった。あ、終わったのね?みたいな感じで。旦那に電話で第一報を入れたのもこれが初めてのこと。これからいろいろ改善すべき点はあるものの、とにかくゴールできて良かったよ。